コラム
column
所属先
AREA 外構&お庭の設計事務所・手描きの図面屋
保有資格
・1級造園施工管理技士
・一般社団法人 日本エクステリア設計協会正会員
庭への想い
手描き一筋、暮らしと夢のAREAを描き続けます。
付加価値が感じられる住まいの提案を心がけ、
住み心地、デザインの満足度を高めていきたい。
~主な経歴~
ハウスメーカーエクステリア部門、外構設計施工会社 15年間勤務を経て独立
AREA外構&お庭の設計事務所立ち上げ12年目になります。
今回のコラムは、前回に引き続き、実践編をと考えていましたが、
6月下旬から7月上旬の9日間、北欧 デンマーク、スウェーデン、フィンランドの3カ国へ、エクステリアやガーデンを中心に仕事をしている同じ業界の女性4人と、
ガーデンや建築、アートデザインの考察を中心にした旅へ行ってきましたので、感動が冷める前に北欧デザインと旅のお話しを書いてみることにしました。
生活の面では税金は高いけど社会福祉が手厚く、国民幸福度が高い。
ムーミン、かもめ食堂、マリメッコ。。。
デザインの面では、ポールヘニングセンの照明、ヤコブセンやアアルトの建築などでしょうか。
私自身は自宅のインテリアデザインを北欧風デザインで構成していますが、日本人は無意識に気がついてみたら北欧デザインを自然に受け入れていたのでは?と感じます。
遠い国だと思っていた北欧ですが、実は、日本と近しい精神的な共通点があるのかな?と感じ始めて旅へ出ました。
北欧の無駄のないすっきりした実用性のあるデザイン、家具、陶器、ガラス、テキスタイルは現在世界中で人気ですが、デンマーク、スウェーデン、フィンランドetc…
各国それぞれの特徴を話せる人は少ないかと思います。
それもそのはずで、
北欧諸国複数の国で育った機能的・自然派・シンプルなデザインを集約しスカンディナヴィアデザインとして世界PRしていくといった試みを、第二次大戦後はじめ1940年代に「デザインという側面において、北欧諸国は1つのまとまりとして認定されるべき」というスカンディナヴィアデザインの方向性を決めたとのことです。
ヨーロッパ諸国では、装飾性の高い重厚な家具の伝統があるせいか、シンプルなデザインの北欧家具は白木で安物と思われ評価は高くなかった中で、1950年代の戦後アメリカでスカンディナビアデザインのシンプルで機能的なデザインに人気に火がつき世界中に広まったようです。
これ以前の1930年代にも、北欧のパイオニアであるアルヴァ・アアルトやブルーノ・マットソンといったデザイナーがアメリカで話題になった実績があり、基礎が築かれていたため、その後のムーブメントに繋がったとも言えるようです。
今回の私達の旅でのアアルトのアトリエと自邸にも伺い、現代の現代建築につながるモダニズム原点を体感してきました。
こちらはフィンランド訪問の回でご紹介いたします。
飛行機で成田空港からフィンランドのヘルシンキまで、10時間。
そこから、飛行機を乗り継ぎデンマークへ。トータル飛行機13時間程の空旅。
空港からコペンハーゲン中央駅まで、電車で15分程なので便利です。
駅からホテルまでは歩いて5分程度だったのですが、歩道は天然石やピンコロが敷き詰められていて、とても美観的にはいいのですが、スーツケースを引きながら歩くのは大苦戦。
子育て先進国で乳母車を引く人も多く、福祉も手厚い国家だと思っていたのでバリアフリーへの配慮がされていないのは驚きでした。道路幅はとても広く、自転車レーンも確保できているので、乳母車、車椅子レーンもできそうだけどなと思いつつ、スーツケースの車輪が壊れないことを祈りながらの移動でした。
◀コペンハーゲン中央駅
ホテルに到着したのはデンマーク時間でPM6:00を過ぎていましたが、昼間のような太陽の光を注いでいました。
北欧の夏は日没が非常に遅く、PM10:00を過ぎた頃から日が暮れてくるような感じなので、短い期間での旅行ですと1日たっぷりと長く観光に費やせる5~9月は、
観光のベストシーズンです。逆に冬場は、極端に日照時間も減り気温も氷点下になりますので、ご注意ください。
この通りは「デザインの聖地」と言われ、陶磁器で有名なロイヤルコペンハーゲンやデザイナーが手がけた家具や照明、生活雑貨が集結する北欧デザインの宝庫とも言えるデパートのイルムス・ボーリフスなどがあります。
この日は、明るいとはいえ遅い時間なので閉店していましたので、後日また、イルムス・ボーリフスへは再訪問、このような一流デザインブランドが集結しているお店が
日本でも実現してほしいと思うデパートでした。
▲イルムスボーリフス店内
▲私が大好きな照明。ポール・ヘニングセンのPHアーティーチョーク。 72枚の金属板にまんべんなく光が当たり、複雑な陰影を作り出します。金額は100万円越えです。。。
▲ハンス・ウェグナーのYチェア
▲実際のリビングシーンを想像させる展示方法で沢山並んでいます
▲エクステリア照明の数々も。。。
飲食店が多く集まるエリアで、どこのお店も外のテラス席が用意されていて、地元の人や観光客で溢れんばかりの大盛況です。
観光ガイドブックに必ず掲載されているアイコン的存在の場所です。
▲ディナー後に撮影したニューハウンの風景。
PM11:00まだ微かに明るいです。
私たちは、電車とバスを乗り継いで1時間半程かかりました。
電車だけの方が移動時間は短く済みますが、バスを利用すると海岸沿いの街並みや住宅を間近に見ながら移動でき、
エクステリデザインの参考になる住宅も多くありましたので時間に余裕がある方には、オススメです。
ルイジアナ美術館は、都会の喧騒から離れた郊外に位置する「世界一美しい美術館」
元々、伯爵邸だった場所を利用して、伯爵時代の洋館はそのまま利用し新たに展示室も新築で建てられています。
展示室の設計の際に一番大事にした点が自然と建築の融合で、樹齢100年以上の木々を避けるように建物に角度をつけたそうです。
▲ルイジアナ美術館の入り口。
こじんまりとしたエントランスですが。。。
▲湖の庭を望む額縁庭園
この美術館には、地形と景色を最大限に利用した彫刻を楽しめる公園や海を見渡せる丘、湖の公園などがあり、アートと建築が見事に融合した空間もふんだんにあり、
休息の場も多く存在し、美術鑑賞後もいつまでも滞在していたいと思う空間でした。
▲ずっとここに居たいと思うこんなスポットが沢山あります
▲写真では伝えきれない感動の中庭
▲水面のきらめきの先にある対岸には、スウェーデン
ここはアルネ・ヤコブセンが手がけた一大リゾートプロジェクトで、劇場やレストラン、リゾート型複合住宅、ビーチの監視台や更衣室などもトータルで手がけています。
1937年なのでモダニズムの先駆けで、80年も前に建築されたとは信じ難いほど、現代においても斬新と感じるデザインは、遜色無くそこに存在しています。
ヤコブセンと言えばスワンチェア、エッグチェアが有名で知ってはいましたが、恥ずかしながらこのような建築を先駆けて手がけている事を知りませんでした。
この日の気温は30度越え、とても陽射しが強く暑い日でしたので、ビーチは老若男女の人々が集まって海水用を楽しんでいました。
私も足だけ海に入ってみたところ、水温は結構冷たっかたです。北欧の人はアジア人より体温が高いのかな?皮膚が厚いのかな?ちょっと不思議です。
▲ビーチの監視台
▲エントランスの庇デザインがR形状、
カッコいい劇場のファサード
▲1934年竣工の集合住宅ベラヴィスタ。各住宅の窓から海の眺望が考えられた配置・パーゴラ状の庇がアクセントになって素敵
▲こちらは1950年代に建てられたベラヴィスタの隣にある集合住宅スーホルム。ヤコブセン自身も住んでいたそうです。
特質すべき点は、お店のインテリアが Restaurant & Bar Design Award で世界一の称号ももらっことがあるそうで、上階はグリーンをふんだんに入れ込んだデザイン空間、下階はほの暗い照明でありながら温かさを感じる演出。デンマークの冬の室内でくつろいでいるような気分想像させる設えでした。
デンマークでは心地よく過ごす寛ぎの時間を表す言葉を「ヒュッゲ」と言います。
このお店はそんなヒュッゲな気分が味わえる、質の高い空間、お料理とサービスを提供してくれます。こちらのお店はもちろん人気店、予約は必須です!
▲Hostの店内
コペンハーゲンの街には、中世を思わせる古くからの建築も沢山残っていますが現代建築も数多くあり、
独特な流線型のフォルムのビル、窓のガラスを多用したデザインなど目をひく外観のもの、街中にあるお店のイアンテリアなど、
私達の仕事に役立つヒントが溢れる街でした。
デンマークだけでも、まだまだお伝えしたことが沢山ありますが、抜粋して書きました。
文章がだいぶ長くなってしまったので、スウェーデンとフィンランドのお話は次回以降にさせていただきます。楽しみにしていただけたら幸いです。
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